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つうかあ 第六話 『Dual Purpose』 解説 / 感想

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つうかあ 第六話 『Dual Purpose』


 構成上のポイント

  ・ まりあ&ゆりあペアに焦点を当てる
  ・ 双子という特殊な関係性を用いて、二人の関係を描く
  ・ まりあとゆりあの抱えているものは何だろう?と視聴者に疑問を抱かせる
  ・ 回想を重ね、徐々に真実を明らかにしていく
  ・ 最終話でのゆりとめぐみの逆転勝利を必然たらしめる伏線を追加
  ・ 清涼剤としてギャグを多めにする
   (これまでにリアル寄りの演技で不和が描かれた為、視聴者が疲れないように配慮)


 伏線&前振り  伏線……後になって意図が判明する布石 / 前振り……段階を踏んで繋がりを滑らかにする為の布石

  ・ 冒頭のギャグで、アイデンティティーが問題となっていることをさりげなく示している
  ・ 序盤にゆりとめぐみがコーチを取り合っていることに軽く触れている (まりあとゆりあの一件への前振り)
  ・ Aパートの中盤で、高根カーブでのコーナリングについてさりげなく話をしている (後に落車地点として用いる為)
  ・ 作画的に均衡を多くし、第七話でそれを崩している。色における均衡は、第六話終盤で崩している



演出など:


<構成:小道具> アイデンティティーそのものが構成上の小道具となっています。
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ゆり「あっはは、だよねぇまりあちゃん」

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まりあ「はい、でもわたし実はゆりあなんです」

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かなえ「えっ?」
ゆり「本当に?」

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まりあ「ふふっウソです、まりあです」

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ゆり「あっ、だよねぇ」
かなえ「あぁ……」

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まりあ「実を言うと……ゆりあです」

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ゆり「えーっ!」
かなえ「ああっ!」

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かなえ「そうやと思うた、先からおかしぃや思うてたんや」

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まりあ「ふふっ、本当はまりあなんですよ」

(中略)
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ゆり「それで、本当はどっちなの?」

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まりあ「そうですねぇ」

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まりあ「私ってどっちなんでしょう?」

アバンで関係性を理解する為の鍵を与えるこの手法。
高山アバンと名付けて、高山カツヒコの名と共に永久に記録したい。金田パースのように。


<作画的演出:均衡(構図 / 表情 + 所作)>
※ 私の分類では、通常は均衡は対比の範疇に含めています。その理由は、不均衡に対する対比となるからです
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(回想)
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(回想終了)

<作画的演出: 衣装 + 色 + 対比>
この場面における白は、何ものにも染まっていない無垢さを演出していると解釈し得ます。黒はその逆です。
この時点では男性の姿は視聴者にとってほとんど見えませんが、徐々に明らかとなっていきます。

<構成:溜め>
この時点では、まりあとゆりあの過去を視聴者に伏せておき疑問を抱かせ、真実が明らかになるまでの溜めを作っています。



<構成:小道具>
互いに変わることを、まだ完全には決意していないこの時の二人は、高根カーブを曲がることが出来ています。
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ゆりあ「まりあのライン、今までと違う」

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まりあ「ゆりあの乗り方、今までと違う」

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まりあ「だけど分かる」

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ゆりあ「だけど合ってる」

まりあ(ゆりあ)「まりあ(ゆりあ)達、一緒じゃなくていいんだ!」
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<作画的演出:均衡(フレーム / 表情)>


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むつき「茂木女子、格段に区間タイム縮めてきてますね」

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はつね「コースに慣れてきたのね」

<構成:伏線>
このカットで、むつきちゃんとはつねに一言ずつ言わせておくだけで、
変わることによってタイムを上げたわけではないという事が示唆されます。


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<構成:前振り + 溜め>
これよりいくつか前のシーンで、ゆりとめぐみが半分に出来ないものを取り合いになったという台詞と併せて、
男性の存在が原因で何かが起きているのだということを視聴者は理解します。

この時点では、まりあとゆりあの過去を視聴者に伏せておき疑問を抱かせ、真実が明らかになるまでの溜めを作っています。

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<作画的演出: 色 / 均衡(構図 / 表情)>
撮影処理と二人の表情によって、一つになることが善くないものであるとして、ここでは演出されています。
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<作画的演出:光>
切られた髪は、きらめきながら夕日へと向かうように潮風に舞っていきます。
外見を変え、過去を断ち切り、二人の関係を変えていくことがここでは善いものであるとして演出されています。


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まりあ「私まりあです」

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ゆりあ「私ゆりあだよ☆」

20分とはいえ、早く生まれたまりあの方がしっかりした感じになり、
ゆりあの方は逆に幼くなった感じになりました。しかしそれは二人の本来の在り方からはズレています。


いずみとなぎさの後日談的な。
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なぎさ「銀鱈の西京焼きとヒレカツ、どちらにしますか?」

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いずみ「どうしてその二つを選んできたの?」

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なぎさ「えっ…… いずみさんの好みだとこれかなって」

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いずみ「当たりよ」

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なぎさ「わぁっ……」

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いずみ「あなた一体なにを考えているの?」

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なぎさ「えっ?」

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いずみ「好きなの二つ持ってきたら迷うじゃないの!私が悩むのを見て喜ぶつもり!?」

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なぎさ「ふえぇ!?」
「すみません!すみません!」
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変わろうとする二人。


個人差も大きいとは思いますが、幼少時に周囲に褒められたり可愛がられたりすることで、それが人格の形成に影響を与えます。
個人としてのアインディティーを求めるより、双子として同じであることを求めたのは、そうした理由でもあるとして描かれます。
『アンジュ・ヴィエルジュ』を視聴済みの方は、ステラと天音を思い出す所でしょう。

<作画的演出:均衡(構図 + 表情 + 所作)>
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<構成:伏線> + <作画的演出:象徴(人形 = 人格の無いなにか)>
人形は、次の第七話にて語られる二人の比喩でもあります。“人格の無いなにか”としての。
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<作画的演出 : 象徴(絡み合った指=愛情) / 記号>
二人の関係が続いてきたことを、時間以外の条件を同じにすることで強調して演出しています。
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ベッドの上で絡み合っていた際は、光が当たって手に影があまりありませんが、ここでは逆光で影が支配的です。
ここでは、一つであることが悲しい事であるとして演出されています。
<作画的演出:光> + <脚本的演出:真実の発露>


<作画的演出:記号>
いくつか前の場面にて髪を切りましたが、時間帯が夕暮れで同じです。この連続性もまた見逃せません。
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<作画的演出: 象徴(絡み合う指=愛) / 記号>
先の場面が記号となり、違いが明確になります。絡み合っていた指が離れかけています。
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(回想終了)
二人は少し距離を置く事にしたのでした。


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まりあ「私たち、上手くいってる!」

<作画的演出:不均衡(色)>
ゆりあとまりあのメットを左右から映すことで、色における均衡を崩しています。
前半ではカメラ位置は同じ側にありました。
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ゆりあ「きっとこれで大丈夫!」

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二人「私、変わる!」

(中略)

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まりあ「私は、私になる!」

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「ゆりあは、ゆりあになる!」


<作画的演出:不均衡(色)>
ゆりあとまりあのメットを左右から映すことで、色における均衡を崩しています。
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まりあ「速い、感じる」

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ゆりあ「今までよりタイム出てる」

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まりあ「私、いつもより大胆になってる」

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ゆりあ「ゆりあ、いつもより激しい」

先ほどはつねが言っていた通り、タイムが縮んでいるのは、実際はコースに慣れてきたというのが大きいでしょう。


<構成:小道具>
このカーブは難所だということが、この回の始めの方で伏線として先に語られていました。

前回、変わることを決意する前の二人は事故を起こさずに曲がれています。
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まりあ「私、もっと、行ける!」

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ゆりあ「ゆりあ、今なら、もっと!」

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めぐみ「ねぇ、あの二人」
ゆり「見えなくなってる」
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(回想)
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棚橋コーチ「レーシングニーラーはパートナーが見えない。そして声も届かない」
     「だからこそパートナーを見ろ」
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ゆり「見えないのに、ですか?」
棚橋コーチ「そうだ、そして聞け」
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めぐみ「聞こえないのに……?」

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ゆり「私、もっと行ける!」
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めぐみ「今なら、もっと!」

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表面的には争っていることが多いですが、互いを見るという点でゆりとめぐみは一歩先を行ってます。
これもまた、最終話での逆転勝利の要因の一つとして捉える事は可能でしょう。


無理に変わろうとすることでまりあとゆりあは互いが見えなくなり、事故を起こしてしまいました。
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感想:


 作品全体の解説記事でも述べましたが、『つうかあ』において、
 夕日や夕暮れは悲しみと恋や愛の記憶の象徴とも言える程に多用されています。
 ゆりとめぐみがコーチを呼び出した場面や、ちゆきが自身を振り返る所、みさきがちゆきにハンカチを届ける、
 いずみがなぎさを守った時、まりあが髪を切る際、まりあとゆりあが失恋した後、幼少時代の
 あいちゃんが伸ばした手にねねちゃんが指を絡ませるシーン。この辺りに注目してみるのも面白いですね。

 少ししかスクリーンショットには上げていませんが、所々ギャグがあって毎回確実に笑わせられました。

 優れた脚本に対して演出も負けていません。以下のような台詞が聞こえてくるようです。

 脚本「私は私の世界で勝利する!」
 演出「私は私の世界で勝利する!」





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作品解説
第一話 『Exhibition』 解説 / 感想
第二話 『Shakedown』 解説 / 感想
第三話 『Practise』 解説 / 感想
第四話 『Swap Meat』 解説 / 感想
第五話 『Reverse Grid』 解説 / 感想
第七話 『Side by Side』 解説 / 感想
第八話 『Engage』 解説 / 感想
第九話 『Mad Saturday』 解説 / 感想
第十話 『Replay Log Data』 解説 / 感想
第十一話 『Blue Flag』 解説 / 感想
第十二話 『Ladies, Start Your Engines!』 解説 / 感想






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