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クダンノフォークロア 感想/レビュー 草稿


※ 十分に検証していない為、本稿ではミスがあるかも知れない。 正直あまり書く気力が湧いてこなかった


◆序文:
(注意点、心得)


まず始めに、エンディングには賛否が分かれるものと思われる。具体的にはネタバレになる為後述する。
クセがある作品や書き方だということは、広報とライターが発売前に口にしていた通り。

主人公の性格が割と男性的。筆者の知る限り、百合ゲームにおいてトップかも知れない。
個人的には男性性の希釈(薄めること)が不十分であり、湿気があまり無いのは良いが、繊細さまで吹き飛んでいるように思えた。

とは言え、その前向きな性格自体は個人的には好印象だった。

推理部分に関して。

知識問題が無いのはFLOWERS夏・秋と同様に基本を抑えている。
叙述トリックが一つある以外は、消去法で一応は正答出来るようになっている。
ただし、全部で十三ある問いの中でおよそ半数は
論理から必然的に導き出されたり、蓋然性の高さ(確実さ)から推理出来るようにはなっていない。

答えを誤って悔しさを覚えることが無い一方、正解しても何の喜びも無い。

しかし、各章個別の推理ではなく、推理パート全体としての構成は
物語に対し有機的に結びついており良いものであった。

続編の構想がありそうな為、一応期待している。

以下、ネタバレは「脚本」、「作画」、「他」、「後記」のみ。



◇:攻略


プレイ時間目安:約十五時間

オートプレイでのプレイ時間。十二時間までは測っていた。
途中で止めていたりもした為、誤差はプラスマイナス7%くらいだろう。
(既読はスキップ)

攻略は以下を参照。

http://seiya-saiga.com/game/sukerasparo/kudannofolklore.html

この度もお世話になりました。



簡易表:


脚本 (what to tell 何を描くか)

  塔子 小兎 トゥルー
物語 B- B- B
構成 B- B- B


(※一.物語とは、世界の変革、個人の心境変化、それらの変化量。描出すべき事象の過不足の無さ)

(※二.構成とは、物語を描く為の適切な場面の配置、伏線、起伏、溜め、ミスリード、小道具の使用等)


演出 (how to show どう描くか)

  塔子 小兎 トゥルー
脚本的 B B B+
作画的 B B B
音響的 B B B
スクリプト B B B


(※一.脚本的演出とは、見せ場を指す。出会い、別れ、愛情、信頼、危機、対決、和解、真実の劇的発露)

(※二.作画的演出とは、印象的な絵。構図、背景、表情、所作、衣装、色、光、象徴、対比、レンズ効果等)
(※三.音響的演出とは、音楽と効果音の使い方。挿入歌は含むが、演技とシステムボイスは含めない)
(※四.スクリプトとは、画面効果を指す。アイキャッチ、ワイプ、暗転、立ち位置や表情の変化等も含む)



◆脚本:
(シナリオ、構成、テキスト、表現)


まずはエンディングについて。

個別エンドだが、問題が解決していない為、素直に喜ぶことが出来なかった。

それとトゥルーエンドだが、マンガ二巻くらいで終わるコメディ作品のような感じであり、正直言って笑ってしまった。
シナリオの分量が数倍だったら、戦争が起きていたかも知れない。
何かを平等に愛することが出来るのは、神には可能だとしても人間には不可能だろう。

クダンが、トゥルールートで朔夜に対して“お前は誰からも愛されない”と吐き捨てた辺り、
ライターがちゃんとプレイヤーの反応を先読みしているのが分かる。(無論、全プレイヤーではないだろう)

次にシナリオ全体について。

全体としては小奇麗にまとまっているが、物語を成立させるのに必要な情報が欠けているように思われる。
(ここで言う物語とは、人物の変化ではなく、大きな事件についてである)

具体的に言うと、クダンがなぜ塔子の右手を最後まで奪おうとしなかったのか。
やろうと思えば機会はいくらでもあったはず。
この部分に対して十分な説明を与えない限り、物語の土台は揺らぎ、物語という名の楼閣は崩壊する。

また、朔夜は小兎の動きだけで剣道経験者と判るなら、紗和子の義手に気付かないのだろうか。

構成について。

最初の事件においてもう一人のクダンがいたり、
次の事件であるフォーチュンラインでの義憤といい、
最後の事件に対する布石として上手く機能しているのが良かった。

塔子ルートでは、朔夜が崖に近づいた際に頭痛がしたり、
小兎ルートでは、新名と爽子が落ちた時の話で嗤う女の幻視があったりと、多少だが伏線が張られていた。

他にも、フォーチュンラインの聞き取り調査の際に、河野真由が結果論うんぬんに対して不服そうであったのも同じく。
(こちらは伏線ではなく布石)

回想が割と乱発されているのはFLOWERSの頃から相変わらず。

キャラクターについて。

小兎に関してだが、殴打する前になぜ塔子の右手を確認しなかったのか。(塔子ルートのみ)
同様に、塔子に罵声を浴びせる前に確認すべきだろう。(全ルート)

それと、爽子に対して復讐を完遂したと思い込んだ後における、
小兎が見せた一連の様子が、個人的には病み過ぎに思えた。
もがき苦しんで死んだと思っているのなら、少しくらい悼んでもいいだろう。(また実際には爽子は被害者だが)

描写に関して。

骨が綺麗に切断されているのが不自然。転落して岩でそんなに上手く切れるものだろうか。
肝心の手は損壊していたのだから、紗和子(新名)が切り落とす理由もないと思われる。(いずれにせよ詳細は不明)
それと、白骨化したとしても、おそらくあの環境下では綺麗に白骨化しないだろう。
一度火葬したのだろうか。いやそれなら、燃焼に伴いなんらかの金属化合物が生じて骨の色が変化しているはず。

とは言え、この辺りの描写は、クダンがなぜ塔子の右手を最後まで奪おうとしなかったのか、
という構成上の問題に比べれば大した問題ではない。

推理部分に関して。

一つ目の推理パート二問目は叙述トリックと捉えられる。
これに関しては長くなった為、「他」項にて扱う。

婚約者についての情報は、料理教室を見に来ただけであり、塔子への好意については語られていない。
また、SNSによって得られた情報が何だったのかも事前に語られていない。骨折うんぬんも。
(事前に全てを示せば、確認作業にしかならないが、
それをミスリードを用いてシナリオにどう溶け込ませるか考えるのは作家の仕事である)

二つ目の推理パート、フォーチュンラインに関して。

ロケットと金属アレルギーに関して。

非金属でも金属光沢のような性質を持つ塗料は存在するが、そういった新素材は常識の範疇では無い為、
仮に知っていたとしても、今作のように使わないのが基本的に原則として正しい。

河野真由がアクセサリーを苦手としていることの理由を、個性を大切にしているのだろうと朔夜にミスリードさせていた。
また、可愛い物好きというのを、小物好きと動物好きが違うように色々あるのだろうと佳恋に言わせていた。
(さすがに、読み手が主人公にまで捜査をかく乱されるのは割と迷惑だが。いわゆる<信頼出来ない語り手>という訳でもない)

正義感うんぬんの真相、つまりコーチのお気に入りであった高村侑が河野真由のいとこを
強引に説得したという点は、事前に語られていない。

設定について。

新名と紗和子が同一人物であるなら、年齢の設定がおかしい。(紗和子の経歴が詐称であるなら話は別)
小兎は新名も爽子も十三才くらいだと言っていたが、
紗和子の年齢からすると、当時の新名は十八才のはず。(転落は八年前)

白骨死体(爽子)に関してだが、小兎ルートでは飢餓から発狂して服を食ったように語られていた。
それがトゥルールートでは転落死したことになっている。
(服は後からセットしただけ、という可能性もあるが)

テキストについて。

“分水嶺”という表現が二十回くらい出てきて、トゥルールート終盤は気になってしょうがなかった。

朔夜の博識ぶりは姉の影響ということで納得できるが、
事あるごとに地の文で詩的に表現するのは流石に違和感を覚えた。

危機的状況にあっても詩的に表現するから、作品世界に対して膜で隔てたように感じてしまい、
ああ、現実ではなく作りものなんだな……と思えてしまった。

クリスチャン・ベールに関してだが、映画『アメリカン・サイコ』のことが伏線になっている……のだろうか。



◇演技:


書くのが面倒な為省略。



◆演出:
(スクリプト、画面作り)


ワイプの種類が多かった気がする。回想をセピア色にしたりなども。



◇作画:
(キャラクターデザイン、原画、塗り)


厚塗りといい身体の陰影といい、技術力の高さを感じる。

目のハイライトが、怒りの表情で瞳孔の位置にあるのが、個人的に少々違和感。

一枚目、正体不明の少女(後にクダンと判明)左右の手の大きさが不揃い。(遠近の強調などではなく)
四枚目、小兎・朔夜ともに、耳と顔の角度による見え方が合っていない。
同じく四枚目、小兎の右手小指が大き過ぎる。
二十五枚目、塔子の右手第三関節が影のせいでいくらかゴツく見える。

とはいえ、普通はそこまで気にしないだろう。全体として見ればプロの中でも上位だと思われる。

パーティクル(粒子)を多用している。背景にオーバーレイでグラデーションをかけていることがある。



◆音楽:


軽快なギターが心地良い。

しかし逼迫(ひっぱく)した状況下や人の生死について話している最中でも
用いられたことで、個人的に当初の良い印象が損なわれてしまった。

好きだと言った後もBGMを切り替えたりせず、感情を反映していないように思えた。
(プレイ後の一月ほど後に書いた為、記憶違いかもしれない)

フォーチュンラインの一件で、朔夜の部屋で
佳恋がいじめの話(調査)を聞いて激昂した時なども、BGMがそのままなのが気になった。

曲数が十二曲だけであり、場面が演出的に記号的なものとなっていた。
また、場面転換が急で、テンションのコントロールが雑な所がいくつかあった。
(良く言えば、テンポが良いと言えなくもない)



◇効果音:


鳥の鳴き声など、十分に付せられていた。



◆背景:


書くのが面倒な為省略。



◇システム:


テキストボックス内の絵におけるミスが一回。
音声の消えている箇所が一つ。

バックログで名前と文章が重なることがある。

必要な機能は大体揃っている。



◆他:


この項は特に読みづらいだろうから、物好きな人間以外は読まない方がいいだろう。

一つ目の推理パートの叙述トリックに関して。

一問目の正答は、“人が起こした事件”である。
二問目の正答は、“もう一人のクダンがいた”であるが、これが叙述トリックになっていると捉えられる。
(意図して、そうなるように問題と解答を作ったのかは不明。単なる論理不明瞭かも知れない)

二問目の答えに“混乱による見間違い”を選びたくなるようになっている。
なぜなら、クダンという怪異は存在せず、人が起こしたものと考えさせられているからである。

以下は論理的に割と厳密性を持たせる為に、一般読者には読み難いものとなっている。

また、可能な限り短く正確に表現する為、英語を交えている。
(それと、not A but Bや、not only A but also Bのような慣用的な形式をあえて使用しない)

単純に表面的に捉えると、一問目は<“人が起こした事件” ⇒ 怪異の正体は人であり、人が起こした事件>
二問目は<“もう一人のクダンがいた” ⇒ クダンは怪異であり、怪異が起こした事件>
となり、一問目と二問目が矛盾へと至るように感じられる。
(一人と数えているから人である、というのとは意味が異なる。最初に、クダンは右手首の無い女の怪異とされていた為)

正答へ導く思考の前提は、<クダンとは人であり怪異ではない>という命題である。クダン is 人 and not 怪異.
それが、当初は<クダンとは人であり怪異でもある>という風に語られていた。 クダン is 人 and also 怪異.
(“女の姿”だから人間とは限らないと言えなくもないが)

クダンを存在しないものとして一問目を正当に導くには、以下のように考える必要がある。
<クダンは存在せず、ある人が存在し、その人がやった> There is no クダン and is a person , and the person did.

クダンを存在するものとして二問目を正当に導くには、以下のように考える必要がある。
<クダンは存在し、クダンはある人間であり、その人がやった>  There is クダン, and クダン is a human being , and the person did.

つまり、二問目の答えである<もう一人のクダンがいた>という命題を、一問目の答えと同じ<人が起こした>という帰結へ持ち込む為に、
<クダンはある人間である>という命題を導くことが出来るかが焦点となっている。

他には、逆に、<ある人がクダンであり、そのクダンとは怪異ではない>として、
一問目の答えを二問目の答えに合わせても結果は変わらない。



◇結語:


トゥルールートは賛否の分かれるエンディングであり、個別ルートは問題が未解決であることから、
シナリオにそれほどの価値を見い出せなかった。

続編を制作するとして、どのルートのどの時点から派生させるのか、
それは判らないが発売されたら購入する予定。

個別ルートの続編を描き、そこで問題を解決して決着させれば、おそらくトゥルールートよりは受け容れられるだろう。



☆後記:


直接言及されたり描かれたわけではありませんが、まさかの譲葉登場にテンションが上がりました。

朔夜の写真を、小兎が変なことに使うとしたらやっぱりその、“体の熱を逃がす”とかですか。
(FLOWERSをプレイした方には解る表現)

塔子が淫らな感情を朔夜に抱いているそうですが、トゥルーエンド後なら
抜け駆け禁止だと小兎が加わって大変なことになりそうですが、どうなんでしょうね。

紗和子なんですが、クダンだったという点はさておき、それ以外では魅力的なキャラでした。
倉を調べている時に、“「お嬢様が発見されたのです」”と誇らしげな声を上げる姿には刺さるものがありました。
紗和子と塔子の主従百合の妄想が捗りました。

続編が出るとして、どういった切り口から描くのか。(主にどのルートのどの時点からか)
舌足らずだった部分を続編で上手いことフォローすることが出来るのか。
今後の『クダンノフォークロア』に期待です。














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