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姉がために鐘は鳴る 感想/レビュー


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◆序文:
(注意点、心得)


良くも悪くも前衛的な所がある為、
そこを積極的に受け取るかどうかで評価は分かれると思われる。

短い作品であっても綺麗にまとまっていて、全容が把握し易い為、
レビューを読む時間があるなら実際にプレイした方が良い。

“彼女の白昼夢”という副題の持つ意味を考えながらプレイすると面白くなるだろう。

以下、ネタバレは無し。



◇攻略:


プレイ時間目安:二時間


シナリオ分岐用の選択肢は無し。



簡易表:


脚本 (what to tell 何を描くか)

物語
D
構成
C


(※一.物語とは、世界の変革、個人の心境変化、それらの変化量。描出すべき事象の過不足の無さ)
(※二.構成とは、物語を描く為の適切な場面の配置、伏線起伏、溜め、ミスリード、小道具の使用等)


以下の作画的演出に関しては、ある一枚のカットが胸に刺さる為。そこを積極的に評価した結果。

演出 (how to show どう描くか)

脚本的
C
作画的
B
音響的
C
スクリプト
C


(※一.脚本的演出とは、見せ場を指す。出会い、別れ、愛情、信頼、危機、対決、和解、真実の劇的発露)
(※二.作画的演出とは、印象的な絵。構図、背景、表情、所作、衣装、色、光、象徴、対比、レンズ効果等)
(※三.音響的演出とは、音楽と効果音の使い方。挿入歌は含むが、演技とシステムボイスは含めない)
(※四.スクリプトとは、画面効果を指す。アイキャッチ、ワイプ、暗転、立ち位置や表情の変化等も含む)




◆脚本:
(シナリオ、構成、テキスト、表現)


構成について。

限られた短い時間を有効に使っている。少なくとも二度は楽しめるように作られている。
隠された意味に気付くというよりは、意味自体が違って見えるという事。
詳述するとネタバレになる為、これ以上は触れない事とする。

テキストに関して。

“パンティータイム”に“ブラ茶”といい、割と自然に変態的だった。(良い意味で)
個人的に、筆者はこういった突き抜けた作風が嫌いではない。

ギャグに関しても、稀に面白いものも見られた。
芸術家志望の患者が同室であった為、そこから以下のようなネタ。

卒塔婆やえ 「きっと『ペッティングナイフ』とかゆーので
        『ここがイーゼル? ここがイーゼル?』とかやるつもりだわよ!」


名言の引用が物語を記号化すると思ったが、短いシナリオではそれが効果的に働いている。
それと、同様にして表示される、変態的な日記の抜粋が名言に見えてくるのが、個人的には面白かった。

漢字について。

中学レベルの漢字であっても、読み仮名を振るのは親切過ぎるかも知れない。
しかしこれは些細な事である為、問題ではないと思われる。

誤字は右の一つのみ。志向性 → 指向性



◇演技:


棒読みは一人のみ。素っ気ないキャラを演出しているにしても、
もうちょっとどうにかならなかったのだろうか。

一人二役の方がいるとは気付かなかった。
発音が標準語では上がる所で、下がる事があるのは、この方の癖なのだろう。
(他作品でも見られた事であり、別段悪い事ではない)

大声を出す場面において、音割れが酷い。
音量を小さくしても割れる為、筆者のオーディオシステムに問題がある訳ではない。

人物毎の音量差が非常に大きい。



◆演出:
(スクリプト、画面作り)


立ち絵における、入れ替わり立ち替わりが、ほぼ毎回スライド式な事に違和感を覚える。

特別な回想時に、映写機風のノイズを入れるのは良い。
(心音+画面を赤く染める+残像)という併用も見られた。

最も鮮烈だったのは、空のキャンバスを前にした、るりこのカット。
目線も合わず、薄暗い病室で、画面の僅か一割程度を占める人物絵。
それまでのシナリオ構成と相まって、思わず絶望感が胸に迫った。



◇作画:
(キャラクターデザイン、原画、
塗り)


個別CGは五枚程か。時間当たりで見れば妥当な範囲と思われる。
(商業作品基準の厳しい考え方)



◆音楽:


ピアノとギター曲がメイン。曲数は五か六程だったろうか。エンディングには歌もある。



◇効果音:


食べ物を食べさせる際の音が、パクッ!というより、バクン!という音に近い。
どちらもデフォルメされた擬音ではあるが、後者はあまり可愛らしくない。



◆背景:


空が異常に青過ぎる事以外、特に気になる所は無かった。
フリーゲームならこの程度で充分だと思われる。



◇システム:


端的に言って、貧弱なシステム。

環境設定、セーブやロードから戻った際に問題が見られる。
この時、音声が終わる上、テキストがバックログ扱いとなる。
また、テキストボックスの意匠(飾り)が大き過ぎて目に付く。

台詞の再生が出来ない。ロード後にはバックログが消失する。
音圧差が大きいが、個別音量調整が無い。オートも無し。

ホイールスクロールがあるのが救いだろうか。



◆他:


本作のジャンルは、あまり綺麗でない言葉を使えば、
ある種の“mind fuck”ゲームと呼べるかも知れない。詳しくは
“mind fuck 映画”で検索。



◇結語:


いくらかアクがあるものの、個人的には許容範囲内。
一部の良質なフリーゲーム同様、更に手を加えた後に低価格で配布して、
多少なりとも費用を回収するべきだろう。





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