
◆序文:
(注意点、心得)
シナリオは構成が基本的に一本調子で退屈。個別CGは使い回しが多い。
立ち絵時の背景は概ね手抜きであり、世界観の演出にまるで貢献していない。
フルスクリーンは縦横比を無視する。その他のシステムも機能が不十分。
男性が最後の方に少し出てくるが、特に絡んでくる事は無い。
絵に関しては、塗りは割と簡素なものの、
絵柄の方は可愛らしく線にはベテランの安定感がある。
ネタバレは「脚本」項のみ。
◇:攻略
プレイ時間目安:約八時間
以下を参照の事。おそらくは唯一のもの。
http://www2.tky.3web.ne.jp/~umn/EroticGamingZone/walk_through%28fan-na_AGLS%29.html
参考にさせて頂きました、この場でお礼申し上げます。
簡易表:
脚本 (what to tell 何を描くか)
物語 |
C- |
構成 |
C- |
(※一.物語とは、世界の変革、個人の心境変化、それらの変化量。描出すべき事象の過不足の無さ)
(※二.構成とは、物語を描く為の適切な場面の配置、伏線、起伏、溜め、ミスリード、小道具の使用等)
演出 (how to show どう描くか)
脚本的 |
B- |
作画的 |
C+ |
音響的 |
B- |
スクリプト |
C+ |
(※一.脚本的演出とは、見せ場を指す。出会い、別れ、愛情、信頼、危機、対決、和解、真実の劇的発露)
(※二.作画的演出とは、印象的な絵。構図、背景、表情、所作、衣装、色、光、象徴、対比、レンズ効果等)
(※三.音響的演出とは、音楽と効果音の使い方。挿入歌は含むが、演技とシステムボイスは含めない)
(※四.スクリプトとは、画面効果を指す。アイキャッチ、ワイプ、暗転、立ち位置や表情の変化等も含む)
◆脚本:
(シナリオ、構成、テキスト、表現)
シナリオ全体について。
MS開発を巡る状況の中で、複数の思惑が交錯する。
そこまで深くはないが、物語世界における広がりを見せた。
構成について。
後半に入るまではかなり平坦な構成。しかしメイン二人の関係に焦点を絞って、
手探りながらも真っ直ぐに描こうというのは割と好印象。
バッドエンドにおける伏線として、ハロン(本作ではハロではない)の生体センサーを
早い段階で見せたのは効果的だった。曖昧さを許さない機械だからこそ、
くつがえる事の無い死を感じさせる。定石通りではあるが良い構成だ。
ワンシーンが長い事が多く、場面の主題が不明瞭な事がそれなりに見られた。
テキストについて。
“動くぞコイツ……”や“通常の3倍”といった有名な台詞を一部で使用していた。
誤字に関しては、コンペティションが“コンペテイション”になっていたくらいだろうか。
◇演技:
主人公が歴戦を“戦歴”と読み違えたり、会社を“社会”と読むミスがあった。
録音の質を含め、他は特に問題は無い。
主人公の声は大変可愛らしく、その性格と外見と相まってつい応援したくなるほどだった。
◆演出:
(スクリプト、画面作り)
ワイプ(画面転換の技法の一種)は地味なもので、演出的な意図は見られない。
個別CGを重要な場面で使い回すのはあまりに残念だ。
特に重要なキスのカットでそれを見た時は、思わず深いため息をついてしまった。
◇作画:
(キャラクターデザイン、原画、塗り)
キャラデは頭身が高く、肩幅も広い。つまり、デフォルメが少ないわけであるが、
その割に顔はアニメ調であり、バランスが崩れて野暮ったい印象を受ける。
とは言え、この辺りは絵描き自身のこだわりの問題でもある為、別段欠点という訳ではない。
ベテランならではの安定感があり、バランスの失した作画はあまり見当たらなかった。
強いて言えば、手が大き過ぎる事がほんの数回あったくらい。
全体的に見れば、高い水準にある事は確かだ。
◆音楽:
ピアノ曲がメインだったろうか。退屈になりがちな序盤に歌を自然に流すのは割と良かった。
◇効果音:
扉を開閉する時の機械音、心音、飲み物を飲む音、シャワーの水音。
その他機械の操作音がいくつか。調理の際の効果音もほんの少し。
数が少なく、質もそれほど良いものではなく、臨場感があまり無いと言える。
◆背景:
特に言及する事は無いが、全体的に質素なものであった。美術的な演出はほぼ皆無。
◇システム:
上ホイールスクロールでのバックログは三行のみ。
全画面表示にするには、システム画面に移行する必要がある為、手間が掛かる。
個別音量調整やテキストボックスの透過調整も無し。
◆他:
特に言う事は無い。
◇結語:
安定した絵以外は、個人的には特に見所は無かった。
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