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FLOWERS 拙劣なミステリーについて

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序文:


『FLOWERS』のミステリィが稚拙である事は、良識派にとっては自明である。
その根拠については、既に以下に挙げた通り。

FLOWERS 春篇 詳細レビュー 「推理」について

この場にて、改めて
『FLOWERS』のミステリィ描写の是非を検討する次第である。

また、これから行う事は、感情移入(自己投影)に関しても重要な意味を持つ為、
ミステリィ自体を問題としない者にとっても有益であろう。

まず最初に、“ミステリー”と“ミステリィ”が、その実体において同一ではなく、
全く異なるものであると考える者は、ここからはお引き取り願おう。
またもしも、ミステリーには原則など一切存在しない、と言ってはばからぬ者もこの場には相応しくない。

仮に
ミステリーに原則が一切存在しないとするなら、それはもはやミステリーではない。

では、始めよう。以下の手順にて示して行く事とする。
(以下は
厳密ではないが、これで十分に一般的な同意くらいは得られるだろう)

前提一:原則を無視したミステリーは拙劣である
前提二:FLOWERSのミステリーは原則を無視している

結論:FLOWERSのミステリーは拙劣である



原則:


原則を示す為、『ミステリーの書き方』 より一部を抜粋しておこう。

題名:『ミステリーの書き方』
出版:講談社文庫
著作:アメリカ探偵作家クラブ
編集:ローレンス・トリート
訳出:大出 健



“ところで「ミステリー」とは何だろうか。このレッテルはかなりルーズに使われているが、
本格的なミステリーは本来、しっかりした論理的な構造を持っている。
ミステリーの骨格は四つの要素からできている。この四つの要素を、
本格ミステリーの四つのルールと呼ぶことにしよう。

ルール1――犯罪が起こること。犯罪の関係者は読者の気を引くに足る人物
でなければならない。犯罪は、例外もあるが、普通は殺人だ。
殺人はこの世で最も重大な犯罪だからである。事件が解決されて犯人が
捕まればいいと読者に思わせるような犯罪でなければならない。
カウボーイの一団が町でピストルを乱射して酔っ払いに怪我をさせただけというなら、
特にどうということもない。が、酔っ払いが実は変装したスパイで、
それを狙って撃ったのだとか、犯人が帽子に鳥の羽根を飾った謎の大泥棒だったとかいえば、
読者はがぜん興味を引かれて結末を知りたくなる。

ルール2――犯人が早いうちに登場すること。誰が犯人なのかを読者に
気づかせないのは作者の仕事のうちだが、だからといって、二一四ページで
初登場した人物が次のページで実は犯人だったとわかる、
などというのはいただけない。犯人も早くから登場して、読者の目に映っていなければならないのだ。

ルール3――作者はあくまでフェアであること。指紋とか赤いスカーフとかの
物的証拠から登場人物の性格や互いの気持ちまで、
手掛かりはすべて書き込んでおかなければならない

読者は主役の分身で、主役の知識イコール読者の知識なのだ。
探偵が「殺したのはお前だ。お前は左利きだから」と犯人を指摘する以上は、
左利きでなければできない殺し方で、しかも名指しされた人物だけが
左利きであることを前もってどこかに(もちろん、それとなく)
書いておかなければならない。気の弱い女教師が実は残忍なスパイだった
という結末にしたければ、この先生が元女優だったとか、
時には残忍なこともやれるのだとかいうことがわかる場面を、入れておくべきである。

ルール4――探偵は犯人を捕まえようと手を尽くし、犯人は探偵の目をごまかして
逃れようと知恵を絞ること。偶然は禁物である。モリアリティ教授が隠れ家で
のうのうとし、シャーロック・ボーンズ氏が安楽イスでくつろいでいることにして
おいたくせに、この先に怪しい奴がいると通りがかりの人がたまたま
教えてくれたおかげでボーンズ氏が教授を捕まえて、「こうなることは
初めからわかっていた」と説明してみせるなどという結末にするのでは話にならない。”


以上にて、原則は示されたものとする。



前提:


次に、以下は自明であると見なす。
前提一:原則を無視したミステリーは拙劣である


続けて、以下を示そう。
前提二:FLOWERSのミステリーは原則を無視している

α:八重垣えりかの登場は、ルール2に反している事は明らかである。

また、推理を始め出した主人公が突然、彼女のドミトリー(宿泊施設)へと急ぐのは、
プレイヤーにとってはその場所さえも未知である故、
ルール3にある“読者は主役の分身”という点にも大きく反する。

一般的な人間(プレイヤー視点)には、見ず知らずの場所や人を目指して疾走する趣味は無いだろう為、
主人公がプレイヤーを無視して独走する様は、自己投影(感情移入)の点において最悪のものである。

β:沙沙貴苺の失踪が、ルール3に反する事については、以下の「脚本」項にて示された。

FLOWERS 詳細レビュー 「脚本」について

γ:更に、推理の為に用いた手掛かりが、ルール3に反する事については、以下にて示された。

FLOWERS 詳細レビュー 「推理」について

以上の三つ(α・β・γ)によって、以下が示された。

前提二:FLOWERSのミステリーは原則を無視している



総括:


前提一:原則を無視したミステリーは拙劣である
前提二:FLOWERSのミステリーは原則を無視している

結論
:FLOWERSのミステリーは拙劣である

以上を以って、FLOWERSのミステリーは拙劣である事が証明された。






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